46回定例研究会(公開)のご案内

日時 20191123(土)10:0017:30
会場 東京大学医学部 医・教育研究棟 第6セミナー室  アクセスは こちら
資料代 1000
案内チラシは コチラ
 10:0012:00 
特別講演

関東軍防疫部・関東軍防疫給水部の設置・拡大と陸軍中央

講師: 松野誠也 特定非営利活動法人 科学史技術史研究所 研究員

講演要旨
 日本陸軍細菌戦部隊による1940年以降の細菌兵器の実戦使用については様々な研究成果によって実態の解明が進んでいますが、一方で、その前段階、すなわち、なぜ日本陸軍は1940年に細菌戦を実行し得る段階に到達していたのかについては、研究が遅れていると考えられます。

 そこで今回は、筆者の研究成果をまとめた学術論文「細菌戦をめぐる参謀本部・現地軍の動静と確執―浙贛(せつかん)作戦を事例に―」(『歴史評論』第681号、2007年1月)、「ノモンハン戦争と石井部隊―関東軍防疫部から関東軍防疫給水部へ―」(『歴史評論』第801号、2017年1月)、「関東軍防疫給水部・関東軍軍馬防疫廠における部隊人数の変遷について」(『季刊戦争責任研究』第91号、2018年12月)を踏まえながら、関東軍防疫部・関東軍防疫給水部の設置・拡大と陸軍中央という視点からこの問題について皆さんと共に考えてみたいと思います。

 

講師プロフィール 
 博士(史学)。日本近現代史・軍事史について研究。近年の研究に、「関東軍と満洲国軍」(『歴史学研究』第949号、2016年10月)、「第九陸軍技術研究所の研究・開発に協力した科学者・技術者に関する一考察」(『明治大学平和教育登戸研究所資料館館報』第3号、2017年9月)、「大正期の日本陸軍によるガスマスクの研究・開発について―第一次世界大戦間とその直後の時期を対象に―」(『技術史』第14号・第15号合併号、2018年10月)、「日本陸軍による液体塩素工業の育成―化学兵器を事例とした軍産関係とデュアルユースの考察」(『科学史研究』第290号、2019年7月)、「新資料が語る日本軍毒ガス戦―迫撃第五大隊『戦闘詳報』に見る実態」(『世界』第923号、2019年8月)、『迫撃第五大隊毒ガス戦関係資料』(不二出版、2019年)などがある。

 

13:0015:00
特別講演 2

南方軍防疫給水部の記録を探し求めて

講師: リム・シャオビン(林 少彬) 太平洋戦争史研究者

講演要旨
 太平洋戦争の中、昭南島と改称されたシンガポールの医学大学ビルに南方軍防疫給水部という部隊に占拠され、その本部として使われていた。若き地元少年二人(後にシンガポール元法務大臣と元厚生大臣)がペスト菌とマラリア研究室の助手として働いていた。“ペスト感染ノミを汽車でバンコクへ運ばれた”という証言を残した。

なぜ、731部隊が赤道上のシンガポールまで来なければならなかったのか?岡部隊はどのように設立され、どんな研究をし、どの戦場に、そして戦後どのようにイギリス軍の目の前に消えていったのか?どれも得られる情報が少なく、謎のままでした。

筆者は、ここ三年、戦医研をはじめ、日本の先輩方々のご指導とご協力をいただいて、日中英三か国語を武器に、あちこちの資料を探し求めて、ようやく岡9420部隊の一角を見えるようになってきたために、皆様にご報告いたします。

 (事務局注: 731部隊員の増田知貞がインドネシア、ビルマ、マレー、シンガポールで撮影した映像が紹介されます。)

講師プロフィール
 
慶応義塾大学(理工)1985年卒。太平洋戦争史について研究。近年の研究発表(中国語)に、「シンガポール陥落」(『聯合早報』、2017年2月)、「飛んできたネズミ①」(『聯合早報』、2017年8月)、「粛清は誰がやった」(『怡和世紀』第35期、2018年4月)、「不死の妖魔②」(『怡和世紀』第38期、2018年12月)、「シンガポールの2月18日③」(『怡和世紀』第39期、2019年4月)、「忘れ去れた戦後の歴史“イギリス軍政”④」(『怡和世紀』第40期、2019年6月)、「シンガポールとマレーに於けるペスト菌弾の生産ライン」(香港『足印簡報』2019年8月)などがある。

(注記:①731部隊の“ホ”号作戦、②岡9420部隊のこと、③昭南島と改称された日、④岡部隊の記録が消えていく時期。)
 

 151017:30 
一般演題

1.    国際HPHカンファレンスでの「戦争、平和と健康」ワークショップの取組み 大野義一朗(東葛病院)

講演要旨

Health Promoting Hospital Network (HPH)はWHOの提起で欧州から始まり現在約40カ国400病院が加盟している。その目的は、たばこなどの生活習慣、難民や貧困、働き方、環境など健康の「社会的決定要因(SDH)」の分析と解決、実践である。

演者らは、最大の社会的要因は戦争であると考えており、平和の問題を取り上げるよう提案してきた。2019年総会で「戦争と平和と健康」ワークショップが採用され、HPH総会で初めて戦争の問題が議論された。

ワークショップは6演題で構成され、広島からは原爆投下から74年たってもまだ終わらない被爆者医療の報告があった。パレスチナからはバタフライ弾など人を効率よく殺傷する兵器による戦闘に加え、生活破壊、施設破壊など幾重にも健康が破壊される様子が報告された。ハルビンからは、旧日本軍が投棄した毒ガスが戦後60年目に死者まで出した事故被害調査が報告された。

東京からは原爆電車を走らせた反核医師の会の活動や、9条を学ぶ憲法カフェの取り組みを報告した。

 ポーランドからは、アウシュビッツ強制収容所に関する報告があった。ナチスが取組んだ健康増進は、優生学を理論的根拠に不健康(生きる価値のない命)を一掃することで、5000人の障害児の安楽死を手始めに、対象を成人障害者、精神疾患患者、さらにユダヤ人絶滅へと拡大し、効率の良い殺戮が「医療」とされ多くの医師が係わった。一方で、収容所で次々に死んでいく人達を救おうとした収容ユダヤ人医師がいた。これらを対峙させ倫理問題を提起した。いずれも戦争による被害の残忍さと、被害者を救うための懸命な医療活動が報告され、戦争をなくす事が最も有効な治療であることが確認された。

このワークショップをきっかけに、ポーランドの演者による日本での講演会、日本社会医学会総会での戦争と平和の分科会、来年のアウシュビッツカンファレンス(ポーランド)で日本から15年戦争での日本軍医師の倫理問題の報告が組まれるなどの進展があった。

講師プロフィール
本研究会幹事、外科医、東葛病院副院長・外科部長、日本外科学会指導医、日本社会医学会評議員。

 

2.  キリスト教 医科連盟有志 行った 731 部隊 巡るハルピン ツアー 報告  〇横山隆、 池田治夫 、佐藤公男、俵 友恵(戦医研北陸支部)

講演要旨

 15 年戦争と日本の医学医療研究会北陸支部世話人である俵友恵氏は、2017年に、キリスト者の一人として、731部隊の医学犯罪を正しく認識して欲しいと考え、理事をしていたキリスト教医科連盟に働きかけ、独自に、有志を募って10名以上の参加で731部隊を巡るハルピンツアーを成功させている。昨年も、戦医研北陸支部と共同でツアーを企画したが、人数が少なく、催行できなかった。今年は、17名もの参加でツアーを行ったので報告する。

横山隆: 医師、15 年戦争と日本の医学医療研究会北陸支部事務局長

 

2.    「留守名簿」から抽出された将校などの学位授与について  

〇西山勝夫(滋賀医科大学)、原文夫(元大阪府保険医協会)

講演要旨

 これまでに入手できた「陸軍防疫機関」の関東軍防疫給水部(満洲第659部隊)、北支防疫給水部(甲第1855部隊)、第156兵站病院(中支防疫給水部、栄第1644部隊)、第136、160、180、200兵站病院(南支防疫給水部、波8604部隊)、南方軍防疫給水部(岡第9420部隊)、関東軍軍馬防疫廠(満洲第100部隊)の留守名簿中から抽出できた軍医/獣医/薬剤/技術/建築/主計将校、技師、嘱託 は合計434名であった。

これらの者について、国立国会図書館で学位論文の表題、学位授与年月日、学位授与大学を調べた。国立国会図書館で所蔵を確認できなかった者で、先行研究で学位授与確認済の者を合計すると学位授与者数は183名、うち戦後104名であった。これらの者の学位授与記録の有無を国立公文書館で調べたところ、学位授与記録のあった者は114名であった。これら114名の学位授与者について、履歴、主論文の要旨、参考論文、審査員について調査した結果を報告する。

 講師プロフィール
 西山勝夫: 本研究会事務局長、滋賀医科大学名誉教授、日本社会医学会評議員、日本産業衛生学会・日本衛生学会会員、満洲第731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会事務局長、軍学共同反対連絡会幹事、大阪労災職業病対策連絡会顧問。

 原文夫: 本研究会事務局次長、元大阪府保険医協会事務局長。

 

4. 15年戦争と日本の医学医療研究会創立20周年を迎えるに当たって、翌日の幹事会を控えて  事務局

 来年の会務総会では2020年の会創立20周年以降の会の継続について方針を決めることとなっている。会は「戦医研の現状を率直に報せ、会の今後に関する会員の意向を伺い、あるいは積極的意見を求め、かつ一定の方向を提起していく。審議を継続するため、今後メール回議や臨時の幹事会を開く。」ことになっている。

 懸案の事務所については、10月1日付で大阪民医連所属の公益財団法人・淀川勤労者厚生協会本部建物内の一室を借用できることになり、新しい体制を整えつつある。

 「会員同士の交流を図るために、各地方で研究会や集いの場を持つことを目指す」という方針に沿い、関東地区ではこれまで6月、8月(11月にも予定)に集いが開催されてきた。

 研究会翌日の24日に開催される幹事会では方針案を具体的に検討する予定である。それに先立つ研究会での闊達な意見交換を期待したい。

1800

人数調整の都合上 (主)事前申し込み+(付)当日申し込み

 

懇親会 炙り酒場 yukari 本郷三丁目店(会費4500)

事前申し込み先 warandmedicine @ aol.com